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コラムNo.23

今、思うこと

赤磐医師会病院
  柚 木 直 子

幼稚園の頃から医者になりたかった。

開業医の父の影響があったとは思う。

人と関わる仕事がしたかったからかとも思う。

医者となって四半世紀が過ぎようとしている時に、この原稿のお話を頂いた。

ちょっと振り返って、新たな気持ちでまた前に進むよい機会ではないかと思った。

念願の医者となって本当に色々な患者さんとの出会いがあった。

友人のように長く交流の続いている患者さんもある。そういう風にしてきた父と同じような環境におかれている自分が有り難いと思う。

消化器内視鏡という興味深いものに出会えたことも幸いだった。ずっとendscopistであり続けたい。生活の中心は今も医師であるが、与えてもらえるチャンスには可能な限りtryしてみたい。

縁あって結婚もしてみた。神様は娘も授けて下さった。外科医の夫が生むのか、私が生むのか少しもめたけれど、「どう頑張っても男は産めない体だから無理!」という夫の言葉で私が出産育児休暇をとった(生涯で医師としての生活を休むのはこれが最後と思ったけれど、親になって医者としても少し変われたと思う)

そんな私が、この夏またもう一つ新しいことにtryした。本を出版することになった。消化器内視鏡医となって24年、最近は胃瘻をつくることも増え、高齢者の嚥下障害にも関わっている。自分だったら嚥下障害がすすんでも、おいしいものを楽しく食べたい、すべてに欲張りな私の性格が色々な人を巻き込んで、嚥下食レシピ本なるものを発刊する。(8月上旬発売「一緒に食べよ!」(ライフサイエンス出版))

さて、次は――と思う。死ぬまで医者をして様々な出会いを受け止めたい。

私が男性だったら、これまでの人生は何か違っていただろうか?

最近は「女性医師のための――」という言葉がよく聞かれるようになった。悪いことではないと思う。しかし、患者さんにとって自分をみてくれる医師が女であろうが、男であろうが関係ないと思う。医師にとって目の前の患者さんが皆同じ一人の患者さんであるのと同じように。

私は今まで女性だから――と思ったことはない。(と思う)

女性だから許してあげようというのもいらないと思う。ただし、男性だからしなくていいというのも、ないと思う。男性医師だって、結婚したら家事をして、子育てをしながら仕事をしたらいい。できることと、できないことはあるだろうけれど(男に子供が産めないように)女性も男性もせっかく医師となったのだから皆、人生をかけて医師の仕事をして欲しい。私はずっと望んでいた大好きな仕事を持てたことに、それを支えてくれた人達に感謝している。そして、一人娘にもいつか人生をかけていいと思える仕事に出会ってほしいと願っている。

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