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コラムNo.42

「女性ならでは」を探して

総合病院水島協同病院
  乾 口 芙 美 恵

この度、女性医師コーナーの原稿依頼を頂き、せっかくなので「女医ならでは」の悩みや喜びについて書けたら、と思い返してみました。例えば、救急外来で酔っぱらいに絡まれる、「上の医者を呼んでこい」と怒鳴られる、医者だと信じてもらえない…このような困った出来事は、男性女性に関わらず、どなたでも多かれ少なかれ経験することなのだろうと思います。対して嬉しい出来事はというと、若い女性に(比較的)警戒されにくい、珍しいと有り難がって頂くことがある、などでしょうか。しかしわたしが大学生時代、同級生の3~4割は女性だったように思いますし、今後も増加していくでしょうから、珍しがって頂けるのは今のうちかもしれません。そう考えてみますと、日常診療において「女医ならでは」という出来事はそれほど多くないようです。これは、わたし自身の経験が少ないからでしょうか。

まだ3年の短い医師人生ですが、幸いなことに、尊敬し目標とする3人の女性医師に出会うことができました。お一人は、当院神経内科のY医師。外来での丁寧な物腰と、書面での言葉遣いの数々。大和撫子という表現が相応しい、美しい日本語を遣われる方です。

態度や言葉尻に相手への敬意がにじみ出ておられ、ご立腹されている患者さんでもY医師の診察後は穏やかな表情をされるとか。もうお一人は当院循環器内科のH医師。几帳面な方で、初期研修時代に始まり現在に至るまで、時には優しく、時には大変厳しくご指導頂いています。鋭い観察眼を持っておられ、精神的・肉体的に参っているスタッフに、誰よりも先に気付く方です。知らず知らずの間に暖かく見守っていて下さり、ここぞというときに叱責や激励を下さるからこそ、多くのスタッフはH医師に尊敬と畏怖を抱くのだと思います。最後のお一人は、地域研修中にお世話になったS医師。訪問診療に同行させて頂き、多くのことを学ばせて頂きました。医学的なことはもちろん、野菜の収穫の時期やおいしい調理法、その町で眺めの良い場所やおいしいお総菜屋さん…地域を丸ごと愛する包容力を感じました。

お三方とも「女医ならでは」だけではない魅力を持った女性医師です。目標としながらも畏れ多く、あまりに現実とかけ離れているために目眩すら覚えます。80歳まで現役と計算して残り50余年、人間的に魅力を持った女性医師になれるよう、精進します。

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