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コラムNo.49

人生の楽園?

宮島医院
  宮 島 美 穂

私が故郷の真庭市に帰ってきたのは今から9年前。長男が2歳の時でした。

私の家は古くからの無床診療所で、いずれは帰ろうと思っていましたが、築100年を越える実家を改築することになり、家が出来るんなら、と予定よりも早くの帰郷となりました。

私の住んでいる真庭市月田地区は、人口約1,300人、市立の保育園と小学校がありますが、いずれも1学年が10人前後という小さなコミュニティーです。高齢化が進み、若い人は貴重な人材で、主人は早速青年会と消防団に入り、地域の行事があると草刈りや準備をし、お祭りがあると屋台を出したりと、いろいろと忙しくなりました。私の方も、周りの人から「ここでは子供はみんな3人なんで」と言われ、気がつけば3人の子の母親となり、子供会の役員や小学校の役員をするようになっていました。

'役員'というと'大変、やりたくない'というイメージがありますが、ここではそれほど面倒な事ではありません。親の人数も少ないので、役員は順番に回してやっており、決めるのもさほど難航はしません。また小学校では、各学年ごとで年に1回、保護者と担任の先生とで懇親会を開いており、子供会でも年度の始めと終わりに懇親会をしていて親同士が仲良くなるので、決めごとをするにも比較的すんなり事が進みます。また、この地域ならではかと思いますが、同じ名字が多いので、みなさんお互いを下の名前で呼ばれます。狭いところなので家の場所も分かるし、家族構成やお父さん、お母さんの勤務先、乗っている車(もちろんナンバーも)などなど、みなさんびっくりするぐらいよそのお家の事をよく知っておられます。

たいていが3世代同居、中には4世代で、ほとんどのお母さんがお仕事をされていますが、とある日、'ここは子育てがしやすい'という話題で盛り上がったことがあります。おじいちゃん、おばあちゃん、みんなが育児に関わってくれ、近所の人も子供達の顔と名前を覚えてくれているので、外で遊んでいても安心できる。いい事はほめてくれるし、悪い事をすればみんなが叱ってくれる。いい所なのに、何で若い人が帰って来ないんだろう?結婚する人も減り、子供の数も急速に減ってきているのが現状で、小学校も近いうちに複式学級になると言われています。子供を増やしたい、というのはお母さん方の切実な願いで、「産める人はもう1人産もうや」なんて、すごいアイデアまで出たこともあります。「うちは4人いると仕事ができなくなるわ」と言うと、「大丈夫、仕事はおじいちゃんがやってくれる」なんて言われてしまいましたが、今のところ3人で勘弁してもらっています。

最近うれしいことに、田舎に住みたいと、真庭にIターンで移住される方が増えてきています。田舎は四季の移り変わりがはっきりと感じられ、野菜や水はおいしく、また人々の温かさを実感できるところです。家も庭も広くて、子供達がのびのびと遊べます。田舎もいいな…、と思われた先生方、一度遊びにおいで下さい。住民一同、心よりお待ちしています!

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