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コラムNo.51
亀乃甲診療所
岩 本 さ ち み
先日、「地域総合小児医療認定医」申請書なるものが、小児科医会から届いた。なんじゃこりゃ?と開封。子供の健全な発育と総合的支援を地域で実践できる小児科医養成の制度とのこと。過去2年間の活動を基準にして、認定されるようだ。
ふむふむ、平成28年度まではおおむね自己申告でいいのか。地域貢献度に重きを置いてる(らしい)。貰えるものは何でも貰っておこうじゃないのと、根っからの貧乏性。数ある項目に目を通してみた。
県北の、年間出生数が60人前後の当地区。合併した町の3分の1は高齢者。ゆりかごから墓場まで、人生の前半および女性は小児科の女医(私)が、人生半ばからジジ・ババさんまでは内科の相棒が、と、2人3脚で開業して四半世紀余り。山また山の地区で、歯科・離乳食指導・個別指導をまとめて受けられる集団健診だからこそ、受けに来る乳児健診。年間十数回の集団健診がたったの5点? 個別健診を100人したら、10点? 個別健診なんて全員来たって、100人には程遠いんですけど。
小学校は統廃合で2校だけになり、8つあった幼稚園と保育園も1つの保育園を残すだけ。中学校は1校のみ。そのすべての施設の園医・校医をさせてもらって、なんて贅沢な小児科医人生よと、個人的には嬉しい環境なのだが、これも、受け持っている数によって点数が大きく違う。
子供の数は確実に減ってはいるが、気になる子どもたちは増える一方。気になる親も増える一方。外来は、診療よりも予防接種とよろず相談が幅を利かせている始末。だが、こちらの点数も少ないのねぇ…
勿論、必修研修出席のノルマもある。まぁ、これは専門医更新の研修と重なるので何とかなるとは思うが、5年間で500単位ではなく毎年100単位以上と条件が細かくなるといささか厳しいなぁ。代診の医者もいない田舎の開業医には、ハードル高すぎるかも。おまけに小児科医会の県会長の推薦状がいるだと?
地域総合医療って、なんなんだろ?と、点数を書き込みながらいささか、無常感を味わう始末。それでも幸いなことに、小児科医会現会長の中島道子先生には、学会などで優しくお声をかけていただくこともあり、不躾けな推薦状の依頼も快く引き受けていただけた。ともかく年度末に申請できそうだが、ただ、先に書いたように更新できるかどうかは大いに疑問が残る。まあ、こういう制度がないと遠方まで講習に行こうと重い腰を上げることもないから、怠け者にはいい機会かもしれない。まだまだ勉強し続けろよ、という天の啓示と諦めて、現役続行するしかないなぁと、空を仰ぎみる50代最後の秋でありました。