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コラムNo.58
岡山済生会総合病院・まな星クリニック
坂 井 玲 子
県医師会報が届くたびに、このコーナーに投稿された先生方の記事を楽しみに拝読させていただいていました。依頼を頂いてびっくりするとともに嬉しかったです。しかし、さて、書くとなると、忙しさにかまけて、なかなか書きたいことが纏まらず、ようやく筆を取らせて頂きました。
父は広島市内で開業医をしていましたが、私自身は、医師になりたいという強いモチベーションを持つことはなく、医学部に入学しました。卒業後は、神経精神医学教室に入局させていただき、非常に刺激あふれる研修医1年目を過ごすことが出来ました。自分の向かうべき方向が見えた気がしました。その後の2年間は、野戦病院のように多忙と言われた広島市民病院神経科精神科で研修を受けました。
研修医としての、この3年間が、まさに、私の医師としての原点だと思っています。精神科と神経内科の二つの領域を幅広く研修することが出来ました。当時御指導頂いた先生方のお言葉は、今も心の中に強く残っています。そのひとつが「この分野は、先生に診察をお願いしたい、そういうスペシャリストになってください」。まだ道半ばですが、いつも心に留めているお言葉です。
私自身が子供を授かった後、40代にして、どうしても児童精神科の領域を学びたくなりました。幸運にも研修をさせて頂く機会を得ることが出来ました。40代で新しい領域の研修を受けることは、20代の研修医時代にも増して、この上なく新鮮で興味深く感じられました。そして、少し大袈裟ですが、子供の精神科診療を通して、大人の精神科診療の新たなビジョンが見えてきた気がします。
現在、岡山済生会総合病院心療科神経科と、まな星クリニックの2カ所で非常勤勤務を続けています。ふと気がつくと、人生の残り時間も、半分をとっくに過ぎてしまいました。
仕事に突っ走ってしまいたくもなりますが、あと少し子供たちが巣立つまで、ワークライフバランスも忘れずに仕事をしていこうと考えています。
専門医・指導医のスキルを維持しながら、患者さんに優しい医師になれるよう、日々心がけて参りたいと思っています。