その一服が病いのもと−喫煙と生活習慣病−
・数字か語る「たばこの害」
「百害あって一利なし」。「百害」はオーバーにしても、ちょっと数えただけで、たばこは10を超す病気のもとであることが、臨床的にまた疫学的に確実視されています。たばこの煙には、約4,000種類もの化学物質が含まれ、そのうち有害物質はわかっているだけでも200種類以上あり、発がん物質は40種類以上含まれています。なかでもニコチン、タール、一酸化炭素は「三悪」で、一酸化炭素濃度は1〜5%と自動車の排気ガスに匹敵するほどです。

・こんなに多くの病気や症状が・・・
たばこを吸うと全身的な抵抗力が弱まり、イライラ、疲労感などの不定愁訴が強くなります。心臓に負担をかけ、がん、呼吸器の病気を引き起こし、ボケのもと、シワなどの老化を早めるもとになります。喫煙が原因で別表のような病気や症状が起こることが科学的に証明されています。

・予防できる病気
喫煙は習慣ですから、たばここそ「生活習慣病」の代表的な要因です。いいかえると、禁煙すれば、別表のような病気は確実にある程度予防できるのです。
本人だけならばまだよいのですが、たばこはまわりの人、特に妊娠や赤ちゃん、子どもに重大な健康被害を与えています。喫煙は個人の嗜好といって避けて通ってよいのでしょうか。改めて考えてみる必要がありそうです。

※たばこはこんな症状・病気をひきおこす(喫煙者本人)

分 類 急性影響・症状など 慢性影響・疾患など
呼吸器系 咳、痰などの呼吸器症状 慢性気管支炎、肺気腫、呼吸機能障害
循環器系 血圧上昇、心拍数増加、末梢血管収縮、循環障害、手足のしびれ感/冷感、肩こり、首のこり、まぶたの腫れなどの症状 虚血性心疾患、大動脈瘤、末梢血管閉塞症、脳血栓、くも膜下出血
消化器系 食欲低下、口臭、その他の消化器症状 胃・十二指腸潰瘍
慢性萎縮性胃炎
歯周病、口内炎、白斑症
クローン病、肝硬変
癌(がん)   肺癌、咽頭癌
口腔・咽頭癌、食道癌
胃癌、肝臓癌、膵臓癌
腎盂癌、尿管癌、膀胱癌
子宮頸癌
中枢神経/
感覚器系
知的活動能低下
睡眠(就眠)障害
脳萎縮、アルツハイマー病(?)
白内障、難聴
その他   免疫機能低下、糖尿病血管合併症、骨粗鬆症、皮膚のしわ増加、体重減少、外科手術の予後不良
全身影響 健康水準の低下 寿命短命、老化促進

富永祐民:日本医師会雑誌 116(4),332,1996より 一部改変

指導:川崎医科大学内科  川根 博司 助教授