メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームは、お腹の内臓に脂肪が蓄積した状態(内臓肥満=ウエスト 周径が男性で85p、女性で90p以上)に、

@高脂血症(中性脂肪が150r/dl以上、HDLコレステロールが40r/dl未満)

A血圧高値(血圧が130/85oHg以上)

B高血糖(空腹時血糖が110r/dl以上)の2項目以上が重複した状態をいいます。

この診断基準は、18年4月に日本内科学会で発表されました。 内臓肥満の人の脂肪細胞は、健康な人や皮下脂肪肥満の人の脂肪細胞と性質が異なって います。内臓肥満になりますと、脂肪細胞から生理活性をもったさまざまな物質が分泌 されるようになります。それらは、動脈硬化を促進したり、インスリンの働きを妨げた り、血圧を上昇させたり、血栓(血液の一部が血管の中で固まったもの)をできやすく したり、また、動脈硬化でできた血管壁の“こぶ”を崩れやすくさせたりします(崩れ たこぶの破片は血流に乗って、例えば脳の小さな血管を塞ぎ、小さな脳梗塞をおこしま す)。

このように内臓肥満があると動脈硬化やそれに関係のある病気(心筋梗塞や脳梗塞) に著しくかかりやすくなります。日本にある統計によれば、肥満のある人に先に 掲げたリスクファクターが2項目重複すると、健康な人に比べ心筋梗塞や脳梗塞になる 確率が30倍にも増えたとの結果が得られています。

私たち日本人の大部分(96%)は、飢餓を克服するのに有利な倹約遺伝子を持ってい ると言われています。倹約遺伝子を持った人が、高脂肪食(脂肪の割合が30%以上) を食べ続けると内臓肥満が起こります。

日本人は、第二次世界大戦後の混乱を見事に乗り切り、めざましい経済発展をとげ、 現在では世界有数の豊かな生活を手に入れました。それに伴い、ライフスタイルも欧米 化し、社会には脂肪の多い食習慣や歩くことの少ない車生活が定着してきました。 このような背景から、日本人にメタボリックシンドロームが増えてきたことは当然のこ とと言えます。

他方、近年社会の成熟にともなって出生率が低下し、少子高齢化社会の到来は避けられ ない状況となってきています。このような中で、子や孫に負担をかけない充実したシル バーライフを楽しむためには、メタボリックシンドロームは避けて通ることのできない 問題と思います。

メタボリックシンドロームの予防には、運動と食生活の是正が大変重要です。 これから社会に運動週間が定着し、また、日本人本来の食習慣が見直されることによっ て、一人でも多くの人に元気で充実した老後を送っていただきたいものです。