乗り切ろう、食中毒の季節・・・やはりおすすめ「水際作戦」
●食中毒の恐るべきニューフェイス・・・O157
ムシムシする6月は食中毒の多い季節です。わが国の食中毒の90〜95%は細菌性食中毒で、原因菌としては腸炎ビブリオ(魚介類に多い)が半数を占め、ほかにブドウ球菌、サルモネラなどが一般的です。病原性大腸菌による食中毒は、これまではせいぜい全国で年間20〜30件程度でしたが、平成8年のO157による患者は年間9,451名(うち死者12名)に増え、今年も流行の兆しを見せています。

●3つの特徴があったら・・・
O157は潜伏期間が4〜8日と長いため感染経路が見つかりにくく、ほかの食中毒の発症に必要な菌数の数千〜数万分の一(わずか100個程度)で発症し、人から人への二次感染も多いため大流行を起こしやすいといわれています。また他の病原性大腸菌にはないベロ毒素(赤痢の毒素とよく似た神経毒)を作り、腎臓や脳をおかすのです。
食中毒の一般的な症状も、急に始まる嘔吐、下痢、腹痛、発熱などですが、O157は、(1)たび重なる水のような下痢、(2)激しい腹痛、そして(3)赤ワインに似た血便が特徴で、時には尿毒症を起こし重症になります。

●手から口の間で防ぐ
従来の食中毒でもO157でも、予防はいかにして菌が口の中にはいるのを防ぐかにつきます。まさに税関の「水際作戦」と同じです。食材ごとにまな板を洗ったりするのはたしかに大変ですが、水道水に含まれる塩素には意外に殺菌力があるのです。
「万が一、食中毒になったら」と考えて、梅雨から夏にかけては特に食材の「水洗い」を心がけてください。


●食中毒予防のポイント
細菌をつけない
  • 薬用石鹸などを使ってよく手を洗う。食事の前、トイレのあとは忘れずに。
  • 肉、魚、野菜などの食材はそれぞれ別に洗い、別々に保存。
  • 包丁、まな板、食器、ふきんなどはなるべく熱湯消毒をする。
細菌を殺す
  • 食品を75℃・1分以上加熱する。ただしコロッケなどの加工食品では中心温度が75℃以上になるように充分加熱。
  • 野菜などの生ものや手を洗うときは、必ず水道の流水下で洗う。水道水には蛇口部分で1リットル中に0.1mg以上の塩素が含まれるため殺菌力がある。井戸水やためた水には要注意。
細菌を増やさない
  • 調理後すぐに食べる。
  • 食品を保存する場合は必ず冷蔵(10℃以下)か冷凍(-15℃以下)し、食前に再加熱する。冷蔵・冷凍で細菌が死ぬわけではないので、過信せず早めに食べてしまうことが大切。

   指導:日本医師会広報委員(神奈川県大和市・雪外科医院) 雪下國雄