かくなといわれても 皮膚のかゆみの対策は?
・かくのは悪循環のもと
痛みよりつらいともいわれる「かゆみ」の正体は、実はまだよくわかっていません。「かゆみ」は大変つらいだけでなく、かくと一種の快感を生じるため、多くの人は傷がつくまでかきこわして、痛くなるとかかなくなります。したがって、細菌に感染しやすくなったり、傷からアレルゲンが侵入してアレルギーが起こったりすることがあります。湿疹などの皮膚炎では、かくと元の皮膚病がさらに悪化して、よけいにかゆくなるという悪循環を招いてしまいます。

・こんな注意をすれば
「かゆみ」は、虫さされ、アトピー性皮膚炎、じんましん、水虫などの皮膚の病気があって生じる場合と、皮膚に目で見える病気がなくてもさまざまな原因でかゆみの起こる場合があります。治療はもちろんですが、日常生活の工夫で「かゆみ」を減らしたり予防することもできます(別表)。なるべくなら、入浴の仕方など毎日の生活習慣を見直すことによって、「かゆみ」から開放されるよう工夫してみましょう。

・薬をきちんと使いましょう
治療には症状をおさえる「対症療法」と原因を治す「根治療法」がありますが、基本的には「かゆみ」には対症療法が行われます。「かゆみ」の原因となる皮膚炎がある時はステロイド剤などの外用薬、抗アレルギー剤、抗ヒスタミン剤などの内服薬が処方されることもあります。よくステロイド剤の副作用が問題になりますが、主治医の指示をよく守り正しく使えば、今のところこれ以上効く薬はありません。
「かゆみ」は年齢や季節(冬の乾燥)が原因で、それほど心配することはありませんが、忘れてはならないのは、糖尿病、痛風、腎臓障害などの病気が原因の場合があることです。なかには内臓のガンのためにしつこいかゆみが続くこともあります。なかなかかゆみがおさまらない場合には、一度皮膚科専門医の診察を受けてみてください。

※「かゆみ」を防ぐ日常生活での主な工夫
主な原因 対策の例
温まりすぎ ぬるめの風呂に入る。汗を流す程度にし、長湯をしない。 夏はシャワーを活用。
皮膚の汚れ、汗 風呂やシャワーで清潔に。部屋を清潔にし、ダニの繁殖を防ぐ。
ストレス ぬるめの風呂にゆったり入る。音楽を聞く、散歩するなどの気分転換。
衣服 肌触りの良い木綿の衣服を。下着にしみこんだ汗も刺激になるので、毎日取り替える。
皮膚への刺激 風呂に入った時にタオルでゴシゴシ洗わない。石鹸を手のひらにつけて洗う。
かくことによる細菌感染 爪を短くし丸くみがく。寝ている時に無意識にかかないよう、手袋をはめ、はだけにくい寝間着を着る。かくかわりに軽く叩いてみる(ただし目のまわりは控える)、あるいは冷やす。
乾燥 市販の保温剤を塗る。特に風呂上がりが効果的。
食事 アルコール、香辛料は控える。温かい食物を食べるとかゆみが出る人は控える。


指導:聖マリアンナ医科大学皮膚科  溝口 昌子 教授