老人病の特色
病気は青年にとっては人生の一経験にすぎませんが、老人にとっては人生そのものであるといわれています。老人の病気の特色としては次のようなものがあげられます。

(1)一般にいろいろな病的症状をもち、中には完全に治る見込みのないものも少なくありません。(2)病気は次第に進行するものが多く、回復も長期間を要します。(3)症状が若い人のように明瞭でなく、例えば肺炎にかかっても高熱や胸痛がないこともあります。(4)かくれた病気が多く、本人が気付かないこともあります。(5)病気が小康状態或いは回復した後でも心身の不自由を残すこともかなりあります。

以上の特色がありますので診療方針としては、病気の治療よりも患者の機能を維持し、少しでも長く正常に近い生活が送れるように仕向けることの方が大切な場合が多くあります。

老人の多い病気は次のようなものです。(1)老化が直接関係する老人特有の病気としては脳動脈硬化症、肺気腫、老人性痴呆(ボケ)、前立腺肥大など。(2)若い人にもあるが老化現象で多くなる高血圧、心臓病、動脈硬化、脳卒中、ガン、糖尿病、骨、関節、筋肉の病気など。(3)老人であるために症状に特徴がある老人性肺炎、老人性肺結核など。