高齢者の肺炎のおそろしさ
肺炎にかかると、日常の生活状態が非常によく、栄養のいい人は比較的初期から十分な発熱を示し、激しい咳が出ますが、栄養の悪い人ほど初期の症状がはっきりしないという特徴があります。たとえば、肺炎でありながら機嫌が悪くなる、食欲が落ちる、或いは時にいさかいを起こしやすくなる、というようなことが先だつことが経験されます。

早期診断が難しいという一方で、急激に症状が悪化して重篤になることがあります。これは高齢者は多臓器障害の持ち主であるという点があり、その症状の潜在している時期がどうしても長引きやすく病期が進展すること、それと同時に体液の失調(脱水状態)を来しやすく、そのために重症に陥るわけです。

一方、高齢者における肺炎のおそろしさは、直接生命を脅かすということばかりでなく、注意して治療に当たっても重篤な後遺症を残してしまうということです。よく経験されることは、肺炎が動機となって、いわゆる痴呆状態が一段と進むことがあります。そうしますと、意志の疎通を含めた日常の生活能力がさがって、肺炎が治ったけれども、結局は生活の再建ができなくなったという状態になります。

なお、最近の研究により、70歳を過ぎた人は、睡眠中に自然に消化管内から口腔に逆流した食物を気道内へ誤飲し、肺炎を起こすことが多いことが指摘されています。