コラム  『熱中症とマスク』

                             理事  光嶋 猛


 いよいよ熱中症の本格的な季節が始まりました。既にあちこちで子供達、
若者達の集団熱中症が報道されていることは皆さんもご存知かと思います。
集団発生の熱中症にかかったとき、この子供達、若者達は運動中に半数
以上がマスクを着用していた、との報道がありました。


 マスクをしていなくても今までこの時期からは熱中症の人々が激増します。
またさらに、高齢者においては自宅などの屋内にいても熱中症になっています。
そして不幸にも自宅内での熱中症で命を落とされる方も増えてきます。


 テレビなどでは「熱中症の予防に十分に水分をとって、塩分も摂りましょう」と
いいますが、熱中症予防にはまずは自身のいる環境、ご自身のからだの
温度管理、室温調節が大切です。屋外作業されている方、屋外で運動される
方は30分から40分、少なくとも1時間に1度は日陰に入る、エアコンの効いた
車内、屋内へ入るなどの対策と共に、水分や塩分摂取することが大切です。


 冷房の効いた自宅や屋内で、汗もかいていないのに熱中症予防と称して
水分や塩分を必要以上に摂取すれば、それは取り過ぎになり、中高齢者に
おいては脚がむくんだり、夜中寝ている時に何度もトイレに起きてしまう、最悪
心不全になることもあります。外来でこのような中高年の患者さんをこれからの
時期たくさん診察します。


 中高齢者、特に高齢の方は自身の温度センサーがうまく働かず、外気温が
30度以上あっても「冷房は体に悪い」と思い込んだり、「ぜんぜん暑く無い」と
感じてしまい冷房という空調管理ができていないことが熱中症の大きな要因
のひとつです。


  これからの時期、マスクをしていなくてもこのような理由で熱中症になる方が
増えます。この上更に真夏にマスクをしていればどんなことが起こるかは想像
に難くありません。子供達にとって、炎天下でマスクを着用して運動することは、
時に重大な健康問題を引き起こす、大変リスクの大きい行為なのです。
文部科学省や厚生労働省からもマスクの適切な装着の仕方が発信されて
います。
体育の時、運動している時、登下校の時には子供達へはマスクを外すよう
にと学校へも通達が出ています。先日のFNNプライムオンラインニュースでも、
末松文科大臣は「命落としかねない」体育の授業、登下校ではマスクを外す
よう全国の学校で徹底へ。と発表がありました。


  しかしながら、学校の先生が熱中症が危ないからマスクを外しましょうと
いっても外せない子供達が多くいることも事実です。コロナ禍が始まってから
の約2年間、子供達へ我々大人や社会がマスクを強要してきました。2年以上
子供達にマスクをするよう躾けてきたのです。そんな中で子供達へ「マスク
は外してもいいし、したい人はしてもいいですよ」と言っても外さない、外せ
ない子供も達がいるのも何ら不思議なことはありません。マスクの装着を
強要してきたのであれば、マスクを外すことも、同様に強く求めてゆかなけれ
ばならないのでは無いでしょうか。そのためには、まずは大人達が率先して
マスクを外してみることも大切だと思います。私たち大人は、子供の健やかな
生活や成長にとって何が大切であるかを真剣に考え、子供の命と健康を守って
いかなければなりません。


 諸外国では、屋外ではどんな大勢が集まるイベントでも観客はほぼマスク
をしていませんね。日本人は、熱中症その他で身体を壊してしまうという多く
の指摘がされているマスクをなぜ外せないのでしょうか。その考察をした現役
医師の記事をメディアが取り上げくれました。このような記事がメディアに
出始めたと言うことは、日本も諸外国同様に何らかのモードチェンジを起こし
つつあるということではないでしょうか。


  是非この医師のご意見もご覧になり、我々大人が一人ひとりで考えて行動
していきたいと思います。



プレジデントオンラインニュース
『マスクは人の目を気にして着用するものではない」現役医師が"マスク離れ"
できない人たちに伝えたいこと』  ※リンク許可を得ています
↓  (クリックしてプレジデントオンラインのページにジャンプ)   
https://president.jp/articles/-/58491?page=1



厚生労働省、『屋外•屋内でもマスク着用について』
↓ (クリックして厚生労働省のポスターにジャンプ)
https://www.mhlw.go.jp/content/000942783.pdf