ここがポイント! 医師の働き方改革

複雑でわかりにくいと言われる「医師の働き方改革」。
まずは、しっかりとポイントをつかむことが大切です。
このコーナーのチェック項目を一つずつ確認していただければ、取り組むべきこととそうでないことが見えてくるはずです。
詳しい内容や取り組み方法などについて相談したいときは、勤改センターをご利用ください。

Point1> 労働時間管理

勤務医を含む職員の労働時間を適切に管理し、安全や健康に配慮することは、管理者の法的な責務とされています。なお、労働時間とは、「使用者の指揮命令下におかれている時間」のことを言います

  • 法規制や労働時間管理の対象となるのは雇用関係にある勤務医です。医師であっても経営者や法人役員等は対象となりません。
  • 労働時間の把握は、タイムカードやICカードなど客観的な方法によって行うことが求められます。自己申告による場合は、勤務実態と合致しているかの確認が求められます。
  • 医師の研鑽で上司の指示・命令によるものや業務性の高いものは労働時間となります。ミーティングや研修会、学会発表やカンファレンスなどの扱いには注意が必要です。労働時間として扱うべきものとそうでないものの仕分けを行い、組織全体で共有することが求められます。
  • 法律で定められている以上の休憩時間(労働時間が8時間を超える場合は60分以上。分割して与えることもできます。)が取れているかの確認も必要です。

Point2> 36協定(特別条項)

医師についても、法律で定められている労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて勤務する場合は、時間外の限度時間数を定めた労使協定(36協定)の締結と監督署への届け出、そして割増賃金の支払いが必要です。

  • 36協定で定めることのできる時間外の時間数には、月45時間、年360時間の上限があります。
  • 36協定に「特別条項」をつけ加えれば、上限を超えて時間外を行うことが可能になります。この場合でも、年720時間、複数月平均80時間、月100時間未満という限度を超えることはできません。また、特別条項は、年6ヵ月までしか使えません。
  • 医師については、2024年3月末まで、特別条項に関する規制は全て適用されません。つまり、特別条項を定める場合は、医師の時間外規制は、36協定の合意内容のみということになります。その分、適正な協定の締結と遵守が求められます。

Point3> 宿日直の許可

「寝当直」であっても、当直を労働時間として扱わない取り扱い(宿日直)をするためには、労働基準監督署長の許可が必要です。(労働時間として扱う場合は、許可は不要です。)

  • 宿日直とは、原則として、「常態としてほとんど労働する必要のない勤務」で、定期的巡視、緊急の電話・文書の収受、非常事態に備えての待機等を目的とするものを言います。従って、通常業務が常態化しているような勤務は許可の対象になりません。(許可があっても、通常業務を行った場合は、その部分については労働時間として扱う必要があります。)
  • 医師・看護師の場合は、特別の許可基準が設けられており、本来の業務であっても「特定の軽易な業務」については宿日直中に行っても差し支えないとされています。(「特定の軽易な業務」についての資料をご希望の方は、勤改センターまでお気軽にご請求ください。)
  • 診療科、職種、時間帯、業務の種類など、限定的に宿日直許可を取ることもできます。許可を取るために具体的にどうすればよいのか、労働基準監督署で相談に応じてもらえます。(労働基準監督署は、使用者側からの相談にも丁寧に応じていますので、安心してご相談ください。

Point4> 管理監督者

「管理・監督の地位にある者」は、労働時間・休憩・休日・割増賃金の規制が適用されないことになっています。ただし、管理監督者は、役職や肩書で決まるものではなく、客観的にみて、「経営および労務管理について経営者と一体的立場にある者」であることが必要です。

  • 管理監督者は、許可制ではありませんが、裁判例を基に次のような要件が示されています。
    1. 人事・賃金等の決定に参画し、労務管理上の指揮監督権限を有している。
    2. 出退勤等の勤務時間について裁量を有している。
    3. 賃金等について一般の従業員よりもふさわしい待遇がなされている。
  • 従って、医師であるという理由だけで、勤務医を管理監督者とすることはできません。

Point5> 医師の時間外上限規制

2024年4月から、医師について特別条項を締結する場合、次の特例が適用されます。

  1. 医療機関に適用される一般的な特例(A水準)~年960時間、月100時間(例外あり)
  2. 地域医療確保のための暫定特例(B・連携B水準)~年1860時間、月100時間(例外あり)
    ※連携B水準とは、「医師の派遣を通じて、地域の医療提供体制を確保するために必要な医療機関」のことを言います。
  3. 医師の集中的技能向上のための特例(C水準)~年1860時間、月100時間(例外あり)
    (1)初期・後期研修医の場合(C-1水準)
    (2)臨床従事6年以上の医師が特定の医療機関で従事する場合(C-2水準)
  • いずれも複数月平均80時間の縛りはなく、単月のみの規制となります。また、「特別条項の適用は、年6ヵ月に限らない(通年で適用可)」とされています。なお、法定休日に労働した場合は、その時間数も含まれます。
    ※法定休日とは、法律で定められた最低基準の休日のことです。(7日に1回または4週間を通じて4回)
  • B・連携B・C水準は、県による指定を受ける必要があります。また、指定後の状況確認も実施されることになっています。C-2水準は、県の指定に加え、「高度特定技能育成計画」を策定し、新たに設けられる中立的な審査組織による審査・承認を受ける必要があります。
  • 例外的に月100時間の上限を超えることが想定されています。その場合は、医師による面接指導、就業上の措置、健康確保措置(連続勤務時間制限28時間、インターバル9時間、代償休息のセット)が必要になります。
  • 医師による面接指導と就業上の措置はすべての水準で義務となります。健康確保措置については、A水準では努力義務、B・連携B・C水準では義務となります。
  • 当直明けの日については、連続勤務時間制限28時間に加え、その後の次の勤務までに18時間のインターバルが必要です。(宿日直許可がない場合)
  • 宿日直の許可がある場合は、当直明けの日も通常勤務が可能となり、その後の次の勤務までに9時間のインターバルが必要です。
  • C-1水準の場合、初期研修医には、連続勤務時間制限15時間に加え、その後の次の勤務までに9時間のインターバルが必要です。(又は、連続勤務時間制限24時間に加え、その後の次の勤務までに24時間のインターバル)
  • B・連携B水準は、2035年末までに段階的に解消し、C水準は縮減することが想定されています。
  • 2024年4月に向けて、各医療機関には、自院が目指す水準を検討し、早期に「医師労働時間短縮計画」を策定し、PDCAサイクルによる取り組みを積極的に進めることが推奨されます。
    B・連携B・C水準を目指す医療機関は、実態と取り組み状況等について、遅くとも2022年度から開始される評価機能による第三者評価を受ける必要があります。県の指定は、この第三者評価を踏まえて行われることになっています。
  • A水準を超える医師がいる医療機関の「医師労働時間短縮計画」の策定は、2024年4月までは努力義務(それ以降は義務)ですが、県によるB・連携B・C水準の指定申請には、「案」の提出が必要です。
    計画策定の詳細は、「医師労働時間短縮計画策定ガイドライン」が示されていますので、参考になさってください。(「ガイドライン」の資料をご希望の方は、勤改センターまでお気軽にご請求ください。)
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