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コラムNo.2

目指せ!雑食系

医療法人藤田病院
  下 村 智 子

日課の朝のウォーキングで、土曜日・日曜日は小学生のソフトボールの試合を見かけます。先日、ベンチ前でウォーミングアップをする生きのいいピッチャーを見つけました。しっかりした下半身、大きな腕の振りでコントロールもいいようです。よく見ると、髪の毛の長い女の子でした。「男子はソフトボール、女子はポートボール」と決められていた頃もありましたが、今は男の子に交じって堂々の投球です。やっとここまで来たのです!

昔から、女子医学生や女性医師は「君たち女子学生が入学したおかげで優秀な男子学生たちが犠牲になったんだ」という教養部の教授のお言葉や、「先生はいいですね、疲れたら産休が取れて!」という同僚の皮肉、「子供が小さいから当直ができないなんてこと言うから女医さんは困るんだよ」「あなたみたいな子持ちのおばさん雇ってくれるところがあると思ってるの?」と言う医局長のお答えなどを聞くたびに、「いいんです。同い年なら我々の方が7年も8年も長生きするんだから。1年や2年待ってくださいな」と心の中で唱えながらいつも耐え忍んできました。

現在、女性医師は全体の20%を占めるようになりました。女性医師支援センターや女性医師バンクもできて「女性医師が働きやすい環境」も整備されつつあります。しかし、「女性医師の離職率の高さ」や「子供のいない医師や男性医師の不公平感」「サポートするほかの医師の負担増」などを指摘される方も多くおられます。ですが、「女性医師が働きやすい環境」は、女性医師だけでなく、男性医師、看護師をはじめとする医療従事者にとっても働きやすく、魅力的な環境であり、患者さんにもより良い医療を提供できるような環境ではないでしょうか。

子育て期間中は、短時間正職員制度や当直・時間外免除などの制度を利用させていただいて(この子たちは将来の高齢者を支えてくれる貴重な存在に育っていくはずです)、子供が大きくなりまたフルタイムで働けるようになれば、精一杯働いて後輩のカバーをする。そんな柔軟な働き方ができるだけ多くの医療機関で選択できるようになれば、と思います。

若い女子医学生や女性医師の皆さん!世の中に増殖中の草食系男子を叱咤激励し、肉食系の偉い先生がたには、上手にお願いをして仕事を続けていきましょう。お肉が手に入ればしっかりいただき、草を食べるときにはゆっくりといただきながら体力を蓄えて、次に備えていく、そんな雑食系女性医師を目指してください。

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