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コラムNo.6

女性支援に取り組んで見えてきたもの

岡山大学医療人キャリアセンター
岡山大学大学院医歯薬学総合研究科地域医療人材育成講座教授
片 岡 仁 美

「女性だから、何か書けるんじゃない?応募してみたら」と上司に言われたその一言で、全く想像もしていなかった道が広がった、そんな不思議な気がする女性支援活動との出会いでした。私は当時第三内科、総合診療内科を経て新たに設立された医療教育統合開発センターで医学教育に関する仕事をしていました。文科省のプロジェクトである社会的ニーズに対応した質の高い医療人養成推進プログラム(医療人GP)の平成19年度のテーマが「女性医師、看護師の離職防止・復職支援」であることがわかり、岡山大学の医学教育部門で唯一の女性スタッフであった自分に声がかかったのは自然なことといえます。

しかし、仕事ばかりして結婚は一応しているものの…という状態の自分では「女性の離職防止復職支援」というテーマを自分だけで考えるのは困難で、同世代の医師を中心に聞き取りを行いました。そのような「本音」から何が必要か、を考えて立案したのが「女性を生かすキャリア支援計画」です。幸い、採択率20%という難関を突破し、このプロジェクトをスタートすることとなりました。

このようなプロジェクトを行うことは初めての経験で、当初は全く何をしたらいいのかわからないまま2-3か月が過ぎてしまったこともありました。しかし、素晴らしいスタッフに恵まれ、また多くの方々に支えて頂き、3年間のプロジェクトを完遂することができたことを本当にありがたく思っています。このプロジェクトを通して多くの方に出会い、世界が広がりました。復職のサポートを通して子育てと仕事の両方をこなすことの大変さ、それを乗り越えて努力するエネルギーや前向きな思いを強く感じました。また、今よりもずっと厳しい環境の中で頑張って来られた先輩女性医師の皆さんのお話は本当に感慨深く、勇気づけられることばかりでした。

「ダイバーシティーの推進」という言葉は良く聞かれますが、そのための一歩はまず自分とは異なる境遇や考えを持った方を理解すること、だと思います。理解と相手への尊敬があれば、多様性が受け入れられる環境をつくることは可能だと思います。逆に、相手への理解と尊敬がなければ、形が整ったとしても長続きするシステムにはならないでしょう。私の職場では、「ワークもライフも頑張っている」女性医師が増え、私は彼女らのエネルギーと頑張りをとても尊敬しています。そんな一人ひとりの存在が女性医師支援の活動のエネルギーとなり、後押しされるように自分も走り続けているような気がします。

平成22年度から地域医療再生計画の一環として岡山県の支援を頂き、「女性を生かすキャリア支援計画」は「MUSCATプロジェクト」としてさらに4年間の活動を行うこととなりました。岡山県医師会の皆様には今まで以上の支援を頂いており、感謝致しております。今後ともより良い活動となるよう御意見や御支援の程何卒よろしくお願いいたします。

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