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コラムNo.9
倉敷廣済病院
江 澤 香 代
いつも仕事を終えて家に帰ると愛犬“ハナ”が私を出迎えてくれます。
私が手を洗う間、じっと待っています。そして手洗いが終わりお待ちかねの触れ合いタイム。
たち耳が見えなくなるくらい耳を倒し、少しこびるように引きつった口元、なんとも言えない泣き声。一人でお留守番がんばったよとでも言っているのでしょうか…。
とても愛おしい瞬間です。私も、お留守番がんばったねと溢れんばかりの愛情で応えます。
しかし、1日の中で最も癒されるこの時間はほんの2~3分で終わります。自分の気がすめば、何事もなかったかのように自分の寝床に戻っていきます。後は呼んでも振り返りもしません。しつこく声をかけているとヴ~という声さえ聞こえてきます。
あまり人にかまわれるのが好きでなく、「お散歩行くよ~」の掛け声にも疑い深く耳だけを動かして様子を伺い、人が玄関まで行くとやっとのそのそと出てきます。
少しヘンクツなところもありますが、そういうところも情がわいて気持ちが和みます。
年賀状でご家族の写真を送ってくださる方が多くいらっしゃいますが、最近はペットも参加しているご家庭が増えているように思います。ペットも家族の一員ということなのでしょう。
少々ヘンクツでも、動物には打算がなく人を騙したり裏切るといった要素が全くありませんし、何らかの被害を被っても人をうらむことさえ知りません。そんな動物たちに日々癒され明日への活力をもらっています。
一方、地球環境問題の中で野生動物への影響に関する話には心が痛みます。環境汚染、温暖化、森林破壊、等々多岐にわたりますが、動物たちは住家を奪われ食べ物を得られず多くの野生動物が絶滅の危機にさらされ続け何十年と過ぎています。
日本では、この40年ほどで牛、豚、鶏の食肉の消費量が10倍以上に増えているそうです。
狭い日本では畜産動物の飼育環境も劣悪ですし、飼料は大半が輸入に頼っています。その飼料のために伐採される海外の森林もたくさんあります。
また牛乳を飲む人が減ったからと多くの乳牛が処分されたことも記憶に残っておられますでしょうか。
人は人で食事の欧米化に伴い生活習慣病が増え、その結果介護の必要な人も増えます。いろんな方面において人も動物も危機的状況です。
地球環境という言葉を聞いて、関心はあるが何をどうすれば良いかわからないという人も多いと思います。まずは知ることだと思います。
例えば日本人も大好きな毛皮のコート、これが一着できるのにどういう過程を経ているのか、知らなければすてきなコートですが、知れば……。
地球のために自分に出来る事をしていかなければと思いつつ、今日も愛犬の存在に癒され明日の診療につなげます。