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コラムNo.16

あいち小児保健医療総合センターの見学

岡山大学医療人キャリアセンターMUSCAT
岡山大学医学部医歯薬学総合研究科 地域医療人材育成講座
  川 畑 智 子

岡山大学医療人キャリアセンターMUSCATは2009年に設立した岡山大学の病児保育室の立ち上げから運営に深く関わっています。岡山大学病院では今年の4月から小児科病棟に保育士さんが1名配置されました。ただ、保育士さんの医療の現場への定着については課題が多く、キャリアセンターとしても何かお手伝いさせていただくことはないかと、先進的な取組みをされている、あいち小児保健医療総合センターに7月下旬に見学に赴くことを企画しました。メンバーは、小児科の先生方、看護師長さん、病棟ならびに病児担当の保育士さんとキャリアセンターのスタッフが一緒でした。

あいち小児保健医療総合センターはJR名古屋駅から大府駅に向かい、車で約10分程度の小高い丘の上に位置していました。中に入ると吹き抜けの広々とした内装で一階の外来受付の近くにはグランドピアノが設置されていました。その日に案内してくださったのは棚瀬 佳美先生(保育士)でした。その病院では保育士さんは総合診療部のチャイルドライフ担当という部署に配属されており、病院内では6名の保育士さんが活躍されていました。棚瀬先生は保育士さんをまとめ、指導をされる立場でした。まずは講義をしていただき、その後は外来と入院を見学させていただきました。全体的に内装は品がよく、子供の喜びそうなウーパールーパーなど小動物も飼われていました。外来の一角には積み木や小さい家など遊ぶ場所が提供され、ボランティアの人が遊び相手をされていました。病棟では保育士さんが子供達のベッドサイドに行き子供と話をされている姿を拝見しました。またお話を伺うと集中治療室にも配属され、子供の命と向き合っているようです。子供達は外来受診時や入院中でも遊ぶことが保証されていました。背景には遊ぶことを通じて自立心を養い、つらい検査や治療を受け入れる精神力を付けてほしいという願いから様々な工夫がなされていました。例えば視覚障害の子供達には視覚障害でも楽しめるおもちゃを選定され、聴覚障害の子供達も同様でした。入院中も教育について配慮がなされており、退院後のその子の人生も見据えた現場作りがされていました。3時間程度見学しただけですが、小児医療の現場を全く知らない私だからでしょうか、何もかもが新鮮でここまで子供に配慮されているのかと感動いたしました。でもよく考えると実はちょっとした工夫の連続なのです。そして保育士さんというプロしか気付けない子供の視点、大事なことを見逃さない姿勢が根付いていたのです。私たちも是非、見習えるところは見習っていきたいし、医療現場で保育士さんがなくてはならない存在になって頂きたいと願っております。

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