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コラムNo.17
岡山市医師会 高島眼科
吉 武 秀 子
「もしドラ」という言葉は何となく知っていました。その言葉を少し認識したのは、映画の予告編でした。数ヶ月前にスピルバーグの「スーパーエイト」という映画を見に行き、その時に予告編として見たのです。私は、かなり映画好きです。でも、もっぱら洋画のファンです。字幕で鑑賞しているにもかかわらず、外国語で理解しているような錯覚に陥ることができることや、日常とは全く違った景色や人物を見ることで自分の現実からエスケープできることが魅力なのでしょう。だから、邦画の「もしドラ」なんて気にも留めていませんでした。
ところがその後、手にした学術雑誌に、某大学の憧れの教授が「もしドラ」を大変面白く通読しましたとエッセイの中で書いておられるのを目にしました。これは、私も読まないわけにはいかない!と、かなり不純な動機から「もしドラ」つまり「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という本を読むことになりました。
読み始めて「みなみ」というあまり女子高校生っぽくない斜に構えたようなキャラクターの主人公に惹かれ、物語に引き込まれていきました。いったいマネジメントとは何なんだろう?マネージャーって何なんだろう?今まであまり馴染みのなかったこれらの言葉の本来の意味が、分かりやすくスーッと自分の中に溶け込んでくるような、そんな感じで読み進めていけます。“マネージャーの資質は才能ではない。真摯さである”紹介されているこんな言葉に襟を正して読みすすめ“企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。それは顧客である。顧客によって事業は定義される”とあります。マネジメントとはこういう考え方をしていくもののようです。
そこで私は考えます。自分自身をマネジメントしていくためには、自分の目的と使命を定義づけなければいけません。自分は女医であるとするのか、家庭におけるいろいろな役割を持つ女性とするのか。自分の立ち位置をどこに置くかで目的と使命は変わり、それに伴う自分にとっての顧客も変わってきます。
さあ、私の頭の中は大混乱。でも二人の息子達が巣立った今、私には家庭内に持つ役割はあまり無く、やはり女医であることが一番大きな、そして大切な立場です。もっと本音を言えば、女医というのではなく、一個の医師という考え方をしたいのですが…。そうすると顧客は当然患者さんでありその家族であり、当院のスタッフであり、連携して下さる諸先生方であり、学校医として担当している学校の生徒達であり、その父兄であり、学校の先生方であります。顧客は何を求めているか。
ゆっくり、じっくり考えて答えを出していきたいと思うのです。真摯であることを忘れずに。