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コラムNo.48

一歩ずつでも前に進み続ける大切さ

川崎医科大学 生理学1 大学院
  笹 江 友 美

私は生まれも育ちも岡山県で、臨床医としての叔父の姿にあこがれ、この人と一緒に働きたいと思い医師を目指しました。叔父は私が医師になる前に若くして亡くなりましたが、今では命日近くなると毎年、今の自分は叔父に恥ずべき姿をしていないかを振り返る機会になっています。

現在は大学院で基礎研究を中心に行っておりますが、リウマチ膠原病科で外来診療も継続してさせていただいており、家では2児の母、さらに妊娠中、あと一か月程度で3児の母となります。今まで私なりの人生設計や理想を思い描きながら生きてきたつもりでおりましたが、何足ものわらじをはいたような生活を続けていると、最近では時々自分が何者なのかわからなくなることがあります。私の存在意義はどこに?

1人目の育児をしながら臨床医を続けていた際にも今までのようにいかない自分のふがいなさに落ち込み、どちらかが中途半端になるくらいなら仕事か家庭か選択した方がいいのではと悩んでいた時期がありました。その時は上司に「今は昔のようにできなくても、いつかはまたできるようになるから、先生らしくあるために仕事を続けたらいいんじゃない?」と言われ、それからは自分の働く意味が分かったような気がして、自分なりの働き方を見つけるように努力してきました。が、未だ何が正解か見つけられていません。

やりたいこと、すべきこと、できること、私ではないといけないこと、任せられること。私の日々はこの振り分けの繰り返しです。いろんな立場で生活しているとそれぞれコミュニティーでの人間関係もあり、人付き合いの苦手な私は、それにも苦労しています。しかし、一番の悩みは同じ立場の方がそばにいないことです。来年は小学生になる長男。今よりも帰宅時間は早いし、夏休みなどはみなさんどうされているのでしょうか。今は私のような立場の女性医師が路頭に迷う事のないように、大学では同窓会を中心に女性医師支援にも携わらせていただいております。子育て中の女性医師に限らず、ご両親の介護やご自身のご病気などがあり医師の他に両立を希望する女性は増えています。「働きやすい環境」と一言で言ってもその環境は幾通りもあり、当大学でもその「環境」を見直しているところです。しかし、自分で望んで就職している以上はその方針に従うべきなのかなとも思います。自分の働き方に合う職場を選べば「働きやすい環境」で働けるのかもしれません。悩みは尽きませんね。

若いうちの苦労は買ってでもせよと言われますが、本音は何もかも投げ出してしまいたいくらいの辛い時もあります。しかし、子供の寝顔を見ると、明日はもっといい自分になろうとパワーをもらっているのも事実です。育児はマラソンのようなもの。そう聞いたこともありますが、私は自分の能力を過信してスタートから全力疾走してしまったのかもしれません。一歩ずつでも前進し、細くても継続することで、今の辛さもいつか自分や家族の成長につながると信じて頑張ります。

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