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コラムNo.56
岡山大学病院 腎臓・糖尿病・内分泌内科
奥 山 由 加
岡山大学病院キャリア支援制度を利用して、卒後4年目に出産、卒後5年目に腎臓・糖尿病・内分泌内科に所属し職場復帰しました。その頃、子供は生後7カ月で離乳食を開始していましたが、授乳も行っていたため、時間が経つと胸の張りや痛みを実感することもありました。また、授乳した5分後には、予診部屋で患者さんから淡々と主訴や現病歴、既往歴などを聴取することもあり、あまりの状況の違いに意識が追いつかないこともありました。復帰して間もなく、ライフイベントは順を追ってやってくるとは限らないことを思い知ります。実母が突然、病気で他界。その半年後、実父に進行癌が見つかり、別居する父の生活全般に大きく関わらなければならなくなりました。育児と仕事との両立に奮闘している最中、介護も加わることになりました(よく考えると、私は厄年でした)。医師として多くを学び経験する、一番の頑張り時とも思えるこの時期ですが、とにかく「休まず出勤すること」だけを目標に掲げています。3歳になった息子は、いつの間にか、良きサポーターの一人となっていました。
私の表情が険しい時に笑顔で教えてくれます。「ママ、笑ってる?」
急いで作った夕飯がどんな仕上がりの時でも、同じコメントをくれます。「ママのご飯、美味しいね!」
子供がいる状況下では、一日三回の食事をとり、ともに笑い、ともに寝る。どんなにつらい時も、忙しい時も、このサイクルが繰り返されることで、同じペースで日々前進出来ていることに気づかされます。言うまでもなく、良きリーダーである上司に恵まれ、夫や家族の支えがありました。たわいない会話を交わすことで気分転換となる同僚も大切な存在です。
私の周りで支えて下さっている方達もまた、ご自身の家庭があり、守るべきものがあり、限られた時間をやりくりされているというご苦労に感謝し、この先、自分の経験を活かして励ます立場になれるよう、今を一生懸命頑張りたいと思います。