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コラムNo.74

女の人生50歳から楽しいよっ!

倉敷紀念病院
  林   里 美

生まれてこのかた、「目標」とか「未来への希望」とか「かくありたい!」とか、そのようなことは何も思わずなんとな~く働き、なんとな~く家庭を切り盛りしてきましたが、人生わからないものです。50歳の大台に乗ろうという2年前、いろいろな世界が広がりました。

きっかけは昨今のチーム医療。日本全国のコメディカルスタッフ、福祉や行政、NPOや企業、企業家など多岐にわたるチーム員の方々と、SNSで通じながらリアルにお会いする機会が増えました。それまでは勤務医という立場でしか物事を捉えられなかった「困ったこと」「うまくいかなかったこと」「頭に来ること」などが、他の方のものの見方考え方を見聞きするうちに、まさに目からウロコ、料簡が広がった、こうすればいいのか!とぱぁーと目の前が広がった感じです。感じだけかもしれませんが…。

病院に勤めていると、ついつい我が業務のみに振り回されていましたが、高齢者の看取りハウスを建ててしまった看護師さんや介護食を提供するレストランを始めた栄養士さんと直接お話をさせていただくようになると、何かが変わり始めました。

その流れの中でまず、「聞き書き」に出逢いました。地域の高齢者にお話を伺って、その人の話し言葉のとおりに文字に起こして冊子(立派な本ではなく、小冊子)にまとめる、という活動です。有名な偉業を成し遂げた方でもいいのですが、自分のおばあちゃんでもいいのです。大変な苦労をした話でもいいのですが、何気ない日常の思い出話でもいいのです。その方が亡くなってしまうと、その人の知識や知恵などはすべて「無」になってしまいますが、話し言葉で語った冊子という形で残ると、まるでその人が目の前で話しているような、そんな感覚になります。聞き書きの冊子はご本人さんの良き思い出にもなるし、お亡くなりになった後の大切な形見にもなります。この「聞き書き」を緩和医療にうまく取り込んで活動されている看護師さんに触発されて、入門の入門のドアのところに立っています。その気になって足元を見ると、倉敷西部では高校生が取り組んでおられ、昨年夏には岡大医療人キャリアセンターで講座が開催されました。入門の門をくぐれる日は近い!

同じ頃、ベリーダンス教室にふらりと入り、ぞっこんです。スポーツは苦手で、もちろんダンスなどしたこともなかったのですが、女性を社会に引っ張り出して輝かせたい、という目標を持つ先生に一目惚れ。キラキラの衣裳にヒラヒラのベールや小物を使い優雅に(イメージ)舞い、見てくださる方をいかにくぎ付けにできるか、日夜鍛錬。キッズからシニアまで、ダンスを通して広く女性を支援する仕組みが作れるのではないか、とワクワクしています。フレイルやサルコぺニアの予防にもってこいだ!

そして、昨年9月に「元気に食べてますか運動」に参加しました。これは、NST栄養サポートチームの知識を、院内や施設内、あるいは後方施設など限られた空間ではなく、広く一般に、普通の生活が営まれている地域に持って出て届ける、地域に「参加する医療」の実践でした。低栄養にならないために、元気な時から正しい知識と持続できる実践を学んでいけるよう、専門家の集団が地域全体の人たちを支えていく仕組みづくりの一環として、「元気に食べてますか」を合言葉に、商店街の高齢者にアンケート聞き取り調査をしました。この活動を各地に展開していける準備も。岡山での活動も始動しそう、と聞いて参加したいと思っています。食育にも通じる大きなムーブメントにしたいなぁ!

…と、妄想のような想いが膨らんでいます。50を過ぎるとしかしなかなか体も脳も力が無くなっていて、残量を見ながらの緩急運転テクニックが必要です。でもたくさんの仲間のバックアップを貰いながら私にできることを模索していこうと、若者の心持ちで頑張りま~す。私にパワーを分けてくださっている皆様、ありがとうございます!

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