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コラムNo.12

ともに育つ願いをこめて

笠岡第一病院
  宮 島 裕 子

学校5日制になって以来、5月に移った運動会も終わり、節電の夏が近づいて参りました。保育園の七夕の短冊に「ウルトラマンになりたい」と書き、紫陽花の名を初めて知った時「味の美味しいお花かな?」とつぶやく子ども達と寄り添う小児科診療を続けて30年になります。

3.11東日本大震災以来、先の見えない不安と沈んだ空気の中で、今年の水仙や桜は殊のほか美しく静かな安らぎを与えてくれました。そして、私達人類も大自然の中の一部であり、地球に生かされている現実を思い知りました。国としてもどこまで求め、何を我慢し譲り合うべきかを謙虚さをもって再構築する時期のように思います。

発足当時より岡山県医師会女医部会に加えていただき、「女性が医師として仕事を続ける」をテ-マに医学生への働きかけ、復職支援・子育て支援を含めた勤務環境整備など、次々に取り組まれる役員の方々の熱い想いと実行力に多くの勉強をさせていただいています。県西南端の笠岡市で仕事をしていますとなかなか十分な参加ができず、いつも申し訳なく思っています。私どもの中小病院でも次々に女性医師の方々が勤務されています。育休後復職の方も多く、第2子出産後から3子幼稚園入学まで頑張られた皮膚科の先生、ご主人が米国に単身留学され2歳の娘さんと二人で医員宿舎で生活された眼科医師、乳児を抱いて岡山から電車通勤された小児科医師など非常勤医師も含めて常に6 ~ 7名の女性医師の方々と診療科を越えて、いろいろと話合い助け合いながら共に働いてきました。仕事を通じて社会に貢献したい、働き続けたいという強い意志が、人生の様々な転機にたおやかで逞しい選択をし、勤務体制を自身で家族や勤務先と交渉し医師を続ける原動力となっているように思います。

医師に限らず、女性が子どもを生み育てながら働くには多くの困難があります。小児科医として女性医師や職員の子どもさん達と接するうちに病院としての親育ち・子育て支援ができればと20年前より時間的、経済的、精神的支援を積み重ねてきています。その一つに夏休みに親と共に出勤する『わくわく・Work・笠岡第一病院探検隊!!』(親の職場訪問、加齢体験、検査、リハビリ、薬剤部など希望の部署体験、おやつ作り、禁煙・食育学習など)があります。5年間で延べ256人の小中学生が職員の温かい協力のもと、親の職場で一日過ごし多くの貴重な体験をしています。子ども達からのお礼の手紙は、親の仕事への理解や働くこと、将来の職業選択にまで考えが及んでおり、私たちも仕事への誇り、職種を越えて仲間のすばらしさありがたさなど再確認できました。

子どもは生まれてくる国も地域も親も選ぶことはできません。小児科医として常に子どもの側に立ち子どもの代弁者でありたいと願っています。女性比率の高い医療現場で、明日を担う子ども達の『生きる力』を育てる子育て支援・ライフ・ワ-クバランスの熟成は、迫りくる少子高齢化社会での男女参画社会の明るいモデルとなれることと思います。

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