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コラムNo.30

女性外来(内科)担当医の一人として

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科
 地域医療人材育成講座
  勅 使 川 原 早 苗

平成24年7月から岡山大学医療人キャリアセンターで働いております。キャリアセンターの一員としては、働く医療人が安心して子育てができる環境整備、離職後のスムーズな職場復帰支援、次世代を担う子供たちが健やかに育成される環境作りに取り組んでおります。また、専門外来を週に1回担当し、平成24年6月に新設しました女性外来(内科)担当医の一人としても外来診療に携わっております。

女性は、ライフステージやホルモン周期により体調が左右されます。日本では、循環器内科医師の天野恵子先生が性差医療(Gender-sensitive Medicine)の視点を提唱し、さらに女性医師が自分の性を認識した上で主体的に取り組むべき医療現場として女性外来を提唱しました。「女性外来」は2001年に鹿児島大学で始まり、労災病院をはじめ、全国各地に女性外来が開設されました。女性からのニーズも大きく、女性医療という概念も急速に普及しつつあります。岡山大学病院には現在全国平均より高い割合で女性医師が勤務しています。女性医師が多岐にわたる診療科で勤務している環境を生かして、性差に配慮した医療の提供を行うことを目指して女性外来(内科)が新設されました。

女性外来(内科)を新設して半年が経ちますが、女性外来(内科)には本当に多様な訴えを持った女性が受診されます。「女性特有の」月経関連愁訴の他に、倦怠感、全身の痛み、息苦しさ、頭痛、めまい、耳鳴り、しびれ、食欲低下、意欲低下、不安感、抑鬱感、不眠などが多くみられます。患者さんのお話を聞いているうちに体調不良の原因には、家族の介護、子育ての問題、仕事場での人間関係によるストレスなど精神的な背景が隠れている場合もあります。女性外来担当医は自分の専門分野にかかわらず、このような多様なニーズに対応する努力が必要であることを痛感しております。多愁訴の中で現在のつらい症状に最も影響を及ぼしている原因を鑑別し、器質的疾患の可能性を常に考慮する診療態度が重要と考えております。

他の病院の「女性外来」の特徴とも重なる点があると思いますが、当院の女性外来の最大の特徴としましては、診察に充分に時間をかけるという点があります。通常の専門外来では、正直なところ、患者さんの訴えを充分に聞く時間がないことがしばしばですが、女性外来では、一人あたり30分程度の診療時間を確保し、完全予約制にしているため、訴えをゆっくり聞くことができます。充分な医療面接と診察、検査を行った後、治療の手段としては西洋薬と漢方薬の両方を用いています。また、3人の担当医によりチーム診療を行っているので、それぞれの知識と経験を補い合いながら、よりよい医療の提供を目指しています。女性外来(内科)での継続診療の他、各専門診療科への振り分けや他の医療機関への紹介も適宜行っております。

岡山県医師会の先生方にはお世話になることが多々あると思いますが、何卒宜しくお願い申し上げます。

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