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コラムNo.32

節分に思う

(医)宇根本会 にいつ耳鼻咽喉科
  新 津 純 子

何気なく過ごしている節分について、今年はいささか気に留めてみました。何故ならば今年の干支は「癸みずのとみ巳」で私の干支も「癸みずのとみ巳」なのです。そうです、今年私は還暦になります。そう思うと、感慨深い思いで、2月3日を味わいました。

節分とは本来季節が移り変わる節目を指し、立春、立夏、立秋、立冬それぞれの前日に、1年に4回あったもののようですが、日本では立春は1年の始まりとして特に尊ばれたため、春の節分のみをさすようになっていったようです。

節分には豆まき、最近有名になった恵方巻きの丸かじりを行います。豆は「魔滅(まめ)」に通じ無病息災を祈る意味があるそうです。豆まきは一般に一家の主人や年男が豆をまくといわれています。家族は自分の数え年の数だけ豆を食べると病気にならず健康でいられるといわれています。ただ、豆まきに使う豆は炒った豆でなければなりません。なぜなら、生の豆を使うと拾い忘れた豆から芽が出てしまい縁起が悪いからです。「炒る」は「射る」にも通じ、また鬼や大豆は陰陽五行の「金」にあたり、この「金」の作用を滅する「火」で大豆を炒ることで、鬼を封じ込めるという意味があり、最後に人間が豆を食べることで鬼を退治したことになるそうです。ただ、耳鼻咽喉科医の立場としては、豆による小児の気管支異物、鼻腔異物のことを心配してしまいます。しかし古の素敵な行事、注意しながら家族で楽しむのはいいのではないでしょうか。

恵方巻きとは、節分にその年の恵方(最も良い方向)に向いて食べると縁起が良いとされる太巻きのことで、目を閉じ願い事を思い浮かべながら無言で1本丸ごと丸かじりします。巻きずしを1本丸ごと食べるのは「縁を切らない」という意味が込められ、七福神にちなんで「かんぴょう」「きゅうり」「伊達巻」「うなぎ」など七種類の具材が入れられ「福を巻き込む」という願いも込められているそうです。この風習は一時廃されたようですが、1970年代後半に復活したとのことです。

鬼(厄や災難)を追い払い、福を引き込む行事。日本人らしい行事だと思います。

「鬼」で思い出すことがあります。20数年前(まだ私も若く30代前半頃)秋田に旅行した時「なまはげ」のお面(鬼の面です)を購入しました。幼い息子と娘が云うことを聞かないので、そのお面をかぶり「悪い子はいね~が~」とやってしまいました。・・・子供たちはお面の下が私であることは了解していたにもかかわらず、ひどく泣いて、謝るのです。私が変身したと思ったのか、私の演技が迫真過ぎたのかどうか、真相は謎ですが今訊ねても、それは、それは、恐ろしかったとのことです。お面の下の私が笑いをかみ殺すのに必死だったとは告白していませんが・・・これは「鬼」も役立った一例です。

これから、子育てしていく若い女性医師のみなさん!子育ても折に触れ楽しみながらしてみてください。子育ては苦しいことも辛いことも山ほどあるけれど、私くらいの年齢になると楽しかったことしか思い出せませんから。

こんなこと考えながら今年の節分をすごしました。

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