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コラムNo.76

女医の21世紀、輝く未来展望

岡山済生会総合病院 耳鼻咽喉科 平井 美紗都

皆さんはじめまして。私は医師13年目で、岡山生まれ、岡山育ち、岡大を卒業、岡山済生会で研修を行った生粋の岡山っ子です。その後、岡山大学耳鼻咽喉・頭頸部外科学教室に入局しました。後期研修はそのまま済生会で継続、その後に岡山大学病院へ異動しました。大学では頭頸部グループに配属され、がん患者の圧倒的な多さに驚き、手術時間は長く(手術室で耳鼻ロングと言われます)、手術日でなくても帰る時には日付が変わっているのは日常茶飯事、22時頃に帰れる日には喜んで帰った記憶があります。心も体もヘトヘトな毎日でしたが、この修行の毎日が今の私を形成しているといっても過言ではなく、今では有難かったと思っています。

大学勤務中に教授に勧められ、大学院に入学し、難聴を研究するグループに入りました。日々の日常診療に追われ、学会発表や論文を書かなかった自分を変えて頂いた良い機会でした。その後、県外への異動希望も叶わず、縁あって古巣(済生会)に戻り、今に至ります。産休に入る先生の一時的なヘルプのはずが、いつの間にか上から3番目、2番目、そして気付けば科長になっていました。早いもので科長になって5年目です。自分のスキルを上
げることに集中すればよかった身分から突如、同僚・コメディカルと良好な関係を築きながら外来・病棟管理、圧倒的に私より先輩である他科トップの先生方との会議等、まさか自分が経験すると思っていなかった生活が始まりました。済生会で最年少科長だった(今でもそうですが)と思います。周りの皆さんにも御心配をおかけしたと思います。岡大と済生会でしか経験がないので不安に思われた先生もおられたでしょう。しかし、大学のような大組織での勤務は別として、私は済生会勤務歴だけで4人の科長のもとで学んできました(皆、男性)。つまり、4人の科長のやりかたを見てきて、自分なりに良いところを引き継ぎ、運営してきました。また、周りのスタッフ、大学病院の先輩・後輩医師たちの支えで、なんとかここまでやってこれました。開業医の先生方にも症例を多く送って頂き、手術件数も多い状態をトラブルなく維持できました。この場を借りて皆様に厚く御礼申し上げます。

ここで趣味について書こうと思いましたが、同じ耳鼻咽喉科医である主人について書かないといけないでしょう。「え?同じ科??」と思った方も多いと思います(笑)。同じ道を志すライバルで、家庭でもよく仕事の話をします。それがストレスになることはなく、逆に上手く発散できています。英語論文を読んだり、学会だけでなくセミナー等で県外に単身で出かける姿を見ると、「私も負けずに頑張らないと」という気にさせられます。家事も半分(それ以上…)やってくれます。そんな主人にもこの場を借りてお礼を言いたいです。

さて、日ごろ女性の先生方を見ていて(特に責任者になって以降、後輩医師からの相談を通して)、感じたことを後輩の参考になればと思い書きたいと思います。

皆それぞれの思いがあると感じます。男性医師より体力的に劣ると感じることも多いでしょう。婚活、妊活、妊娠、育児と並行して仕事も両立するという女性ならではの悩みもあります。私が同じ女性医師として考えているのは、臨床でも研究でも短時間勤務でも、どんな形でも女性医師が仕事を続けられることが大事だと思っています。当科は医師が5名、その内、私を含め4名が女性医師です。皆既婚者で働き方も様々ですが、全員いきいきと仕事をしています。勤務時間を減らせば家庭と両立しやすいですが、仕事量を減らすことだけが良いとは思いません。目標を持ち、充実した仕事ができ、自分は必要とされているなどのモチベーションがないと続けられないのではないでしょうか。このたび原稿依頼を頂き、過去のEnJoi通信を拝見させて頂きました。御自身の仕事に誇りを持たれ、若い女性医師が今後の自分を考えていく上で非常に参考になる素晴らしい先生方だと思いました。学会でも男女共同参画などのセッションが増え、医療における女性医師の役割は今後さらに増すでしょう。そのため復職支援も課題です。岡山では女性医療従事者の復職支援MUSCATプロジェクトがあり、全国的にも支援が進んでいる状況です。私も1病院、単科長としてできることは少ないですが、先輩方をならって女性医師復職支援の力になるべく対策を考えています。まだまだ先は長い21世紀、さらに明るく輝かしい女性医師の未来が来ると私は信じています。

さてさて、振り返ると真面目なことばかり書いてしまいました。主人に読まれると笑われそうです。私は決して不真面目ではありませんが、根はぐうたらです。たまにある休日は洋楽鑑賞や海外ドラマを観ていることが多いです。多趣味な主人に合わせられず、結婚4年。いつの間にか主人の趣味が全て私寄りになっていました(笑)。そう、両立にはこんな家族の協力(?)も必要なのかもしれませんね。私の次の目標は、ここに充実した趣味の話を書けるようになることかもしれません。こんな私の話を最後まで読んで頂き、ありがとうございました。女性医師皆様の将来に、私の経験が何かの一助となれば幸いです。

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